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ホモ・サピエンスの道具研究会 展覧会 『すべての本は、 わたしたちの道具』


ホモ・サピエンスの道具研究会 展覧会
すべての本は、わたしたちの道具

2017年2月22日(水)~3月6日(月)
名古屋市芸術文化団体活動助成事業

ホモ・サピエンスの道具研究会は、昨年、ON READINGの出版レーベルELVIS PRESSより増補新装版『世界をきちんとあじわうための本』を刊行しました。出版を進めるなか、両者でよく話したのは、この本をただ商品として取り扱ってしまうような考えはせず、できるだけ道具として使いこなすように心がけること。本体と代金が交換されるだけの商品とは違って、それが道具でありえていれば、本屋さんと、お客さんと、さらには本屋さんでもなく、お客さんでもない人たちとも、これまで無かったような関係が生まれるはず。

今回のON READINGでの展覧会では、会期中、この本を道具にして、トークやスクールやワークショップなど、たくさんのイベントをおこなう予定です。なので、展覧会は、あくまで、そうしたたくさんのイベントのひとつと考えて、いろいろなかたちでご参加ください。

ホモ・サピエンスの道具研究会
生活とともにある「研究」のあたらしいあり方を探るなかで生まれた、人類学者を中心メンバー
とするリサーチ・グループ。今回の展覧会は、山崎剛・木田歩・坂井信三が企画を担当。
https://twitter.com/sapiensneipas


日時|A-1 :2月24日[金]19:30-21:00 / A-2 :3月3日[金] 19:30-21:00
B-1 :2月26日[日]13:00-14:30 / B-2 :3月5日[日] 13:00-14:30
2回で1セット、A・Bそれぞれ定員8名 ※満数に達しましたので受付を終了いたしました。
参加費|4,000円(2回分・要予約)
講師|ホモ・サピエンスの道具研究会

みなさんは、毎日、世界とどのように出会っているでしょうか? 季節ごとに違った風を頬に感じたり。ひとりでに動くはずはないのに、いつもどこへ行ったかわからなくなるリモコンやスリッパを探したり。日々、そんなふうにありふれたかたちで、出会いを経験していたとしても、世界と出会っているという事実として、あらためてあじわう機会はあまりないかと思います。

なので、ホモ・サピエンスの道具研究会は、すでに出会っているものに出会いなおす「場所」としてこのスクールを開くことにしました。また、世界と出会っていても、それが何なのかモヤモヤしていて、どうやって人に言ったらいいのだろうと困っているような人のためにも、集まることができる「場所」になればよいなと思っています。

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※満数に達しましたので受付を終了いたしました。



日時|3月4日[土] 19:00-20:30
定員|20名
参加費|1,000円(要予約)
スピーカー|ホモ・サピエンスの道具研究会、ReBuilding Center JAPAN、ON READING

日々の暮らしにおける、世界との出会いの経験にこだわるホモ・サピエンスの道具研究会。海外の出版状況も視野に入れ、本とのかかわりをたのしむON READING。住まうことと分かちがたくある家を見直し、地域と地域を越えた広がりのなかで活動をするReBuilding Center JAPAN。対象も規模も違うけれど、どこかつながっているような気もしなくもない。このトークでは、特につながりが何もなかったとしても、それぞれ、まわりにひろがっているものをどう見て、どんなことを探っているのか、そんなことを話すことで、それぞれが生みだす動きが見えればいいなと思います。

ReBuilding Center JAPAN
代表取締役|東野唯史(あずの・ただふみ) 84年生まれ 名古屋市立大学芸術工学部卒
取締役|東野華南子(あずの・かなこ)86年生まれ。中央大学文学部卒。
2014年より空間デザインユニットmedicalaとして妻の華南子と活動開始。全国で数ヶ月ごとに仮暮らしをしながら「いい空間」をつくり続ける。2016年秋、建築建材のリサイクルショップReBuilding Center JAPANを長野県諏訪市に設立。ReBuild New Cultureを理念に掲げ、「世の中に見捨てられたものに価値を見出して、もう一度世の中に送りだし、次の世代につないでいく」ことを目的に活動中。『世界をきちんとあじわうための本』の取扱店のひとつ。
http://rebuildingcenter.jp/

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※満数に達しましたので受付を終了いたしました。



日時|2月27日[月] 19:00-20:30
定員|8名 ※満数に達しましたので受付を終了いたしました。
参加費|500円(要予約)
ファシリテーター|ON READING、ホモ・サピエンスの道具研究会

本は、物心ついたころからなんとなく私たちの近くにあって、当たり前のように「開いて、読む」ことをしています。また、本がそこにあれば、押し花をつくることもできるし、家から職場まで運んだり、今は読まなくてもいつか読むこともできます。しかし書かれている内容については話すことがあっても、本とは一体どういうものなのか、ということについては話す機会が少ないように思えます。

このワークショップでは、本の内外で起きていることに、思いをめぐらせてみます。わたしたちと本との間にある、「開いて、読む」だけではない関係に気づけたら、本をもっとよい道具として使うことができるかもしれません。本を好きな方も嫌いな方も、好きでも嫌いでもない方も、是非ご参加ください。

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※満数に達しましたので受付を終了いたしました。

 


【展示記録】ホモ・サピエンスの道具研究会 展覧会「すべての本は、わたしたちの道具」

ON READINGでは2014年に「世界をきちんとあじわうための本」の取り扱いを始めてから、2015年は「SUNDAY MORNING ISSUE」、2016年は増補新装版「世界をきちんとあじわうための本」の制作と、ホモ・サピエンスの道具研究会との取り組みを続けています。

今回は、増補新装版「世界をきちんとあじわうための本」の刊行記念として、展覧会、スクール、ワークショップ、トークイベントと、様々なイベントを企画しました。いろいろな形でご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

スクール「世界と出会いなおす練習」:

二週にわたって行われたスクールでは、私たちが普段目にしていながらきちんとあじわえていない「世界」と出会いなおす練習をしました。

1回目は、ホモ・サピエンスの道具研究会の坂井さんを案内人に、ON READINGの店内や、近所をぐるりと散策しながら、気がついたことや、気になったことを話していきます。置いてあるものやその様子から、入っていい場所といけない場所、触っていいものとダメなものなどを、私たちは瞬時に判断していることに気づきます。2回目は、1週間の間に生活の中で観察してきたことを発表。「落とし物」をテーマに小さな本を作って来た方、とにかくたくさんの外にある「椅子」を写真に撮ってきた方、皆さんの発表方法もとても独創的なものが多く、私たちが意識せずに行っていること、様々な道具によって可能になっていることなど、新たな気付きがたくさんありました。

ガイドブックとして作られた「世界をきちんとあじわうための本」の実践編ともいえるこの二週間は参加者の皆さんにとってとても大きな刺激になったようです。

ワークショップ「本をめぐって起きていること」

このワークショップでは、「開いて、読む」以外の本のあり様や、使い方について思いを巡らしました。「本はどこに・どのようにあるか」という問いをきっかけにすると、どんどん皆さんから様々なエピソードが飛び出します。例えば、病院や銀行の待合室にある本が可能にしてくれていること、自宅の物置にある本が教えてくれること、子供部屋の本はどのように使われているか…。これは今後とも引き続き、みていきたいテーマです。期せずして、本にまつわる仕事をされている方も多かったこともあり、今後のそれぞれの活動やお仕事にも活かされる時間になりました。

 

トークイベント「それぞれの配置」

長野・諏訪にて、建築資材のリサイクルショップReBuilding Center JAPANを運営する東野唯史さんと華南子さんご夫妻をゲストに迎えてのクロストーク。ReBuilding Center JAPANの活動は、主に取り壊しになった古い建物から古材や建具などを救済(レスキュー)して販売すること。そしてそれを通して古い物に新しい価値を見出す文化を広げていくことで、その日々はまさに「世界をきちんとあじわう」ことを実践されている、という印象でした。おふたりも「Rebuild New Culture」の理念を強化してくれる存在だと「世界をきちんとあじわうための本」をお店で販売してくださっています。本によって可能になっていることのひとつに、それを置く場所の思想やメッセージを代弁してくれるということがありますが、まさにこの本を道具として使ってくださっているそうです。

活動の分野は違えど、こうするのが一般的だ、という既存の考えに対し、「そのように考えることをやめる」という共通のテーマがある三者のクロストークは、全く違うことをやっているようで、共通する部分も多く、とても実りの多い時間となりました。

 

 

展覧会「すべての本は、わたしたちの道具」

会場に積まれたたくさんの本、改訂されたりカバーを新しくして何度も生まれ変わる本。かばんの中に入っている本。私たちの生活の中にある本からはどんなことがわかるでしょう。今回の展覧会では、本がテーマになっているようでいて、それだけではありません。

展覧会は終わりますが、世界は明日も私たちの周りにあります。本よりも、この展覧会やイベントよりも、面白くあじわい深いのはこの世界そのものであると、気づかせてくれる2週間でした。

2017-01-24 | Posted in Past-ExComments Closed