2018-06
野川かさね 写真展 『山小屋の灯』
野川かさね 写真展『山小屋の灯』
2018年8月11日(土) ~ 8月20日(月)
山小屋を偏愛する編集者・小林百合子さんと写真家・野川かさねさんの山小屋フォトエッセイ第2弾『山小屋の灯』(山と溪谷社)の刊行記念を記念して、写真展とトークイベントを開催します。
『山小屋の灯』(山と溪谷社)刊行記念
小林百合子 & 野川かさね トークイベント&サイン会
日程:2018年8月11日(土)
時間: 開場 18:30 | 開演 19:00 ~
※イベント当日の通常営業は17:00時までとなります。
参加費:1,500円(お買物券500円分付)
定員:30名
ご予約:下記フォームよりお申し込みください。 ※定員に達しました。
〜登頂だけが登山じゃない。
山小屋を目指して、ゆったり歩く山登り〜
前著『山と山小屋』(平凡社刊)の発売から5年、山小屋を偏愛する編集者・小林百合子さんと写真家・野川かさねさんの山小屋フォトエッセイ第2弾が発売になります。刊行を記念して、おふたりならではの山小屋登山の楽しみ方を語っていただきます。
『山小屋の灯』は、おふたりが2年の間に巡った各地の山小屋と、そこで過ごした時間、思い出を綴ったフォトエッセイ集。バス停から徒歩1分という初心者でも安心して行ける山小屋から、北アルプス最奥地にある秘境的山小屋までを紹介しています。
トークショウでは、これから山小屋に泊まってみたいという方へのアドバイスや、本には綴られなかった登山の裏話などを。スライドショーでは美しい山の写真もお楽しみいただきます。またイベントの最後には、本書のタイトルにもなっている山の歌『山小屋の灯』を参加者みんなで合唱(!)。山小屋で過ごしているような温かな時間を共有できたらと思います。
Q&Aコーナーでは山小屋宿泊のことから山での写真撮影のことなど、おふたりが山の疑問、お悩みに答えてくれますヨ!
小林百合子(こばやし ゆりこ)
1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。
野川かさね(のがわ かさね)
1977年神奈川県生まれ。山や自然の写真を中心に作品を発表する。クリエイティブユニット〈kvina〉、自然・アウトドアをテーマにした出版・イベントユニット〈noyama〉の一員としても活動する。作品集に『Above Below』(Gottlund Verlag)『with THE MOUNTAIN』(wood/water records)、著書に『山と写真』(実業之日本社)など。
http://kasanenogawa.net/
本書は山小屋をこよなく愛し、全国の山小屋を訪ね歩いてきた編集者と写真家によるフォトエッセイ集。 東京から日帰りでふらりと登れる高尾山、静かな森歩きを楽しめる北八ヶ岳、温泉を楽しめる東北の山。山々が果てしなく連なる北アルプス最奧まで。山が違えば山小屋の佇まいも変わり、出会う人も様々です。本書では著者たちが2年間に歩いた山と滞在した山小屋16軒について情感豊かに、ときにユーモアたっぷりにそのエピソードが語られます。 巻末には登場した山小屋の詳細情報やそこに至るまでの詳細なルート情報、地図なども収録
価格:1728円
版元:山と溪谷社
発売日:2018/6/18 ページ数:176ページ/ソフトカバー ISBN-13: 978-4635171939
【展示記録】
野川かさね 写真展『山小屋の灯』
2018年8月11日(土) ~ 8月20日(月)
小さな草花や、山小屋で働く人の手、霧がかった登山道や、夕暮れの中にぽかりと浮かぶ山小屋の灯。野川かさねさんの視点は山の魅力の深さを教えてくれます。
今回の展示は、小林百合子さんとの共著、『山小屋の灯』の刊行に併せて開催いたしました。書籍『山小屋の灯』では、おふたりが2年間に歩いた山と滞在した山小屋16軒についてのエッセイと写真で構成されているのですが、展示では、「道」「手」「水」「山小屋」「植物」といった、モチーフやイメージごとに、様々な山や山小屋で撮られた写真が並び、どこで撮影された写真なのかといった、場所の情報は掲示されていません。
同じ写真でも、構成によって全く違うものに見えるという、写真の面白さを感じられます。
山写真界に「かさね風」という新しいスタンダードを生み出した、と言われている野川さんは、植物を撮っていく中で山に登り始め、心動かされたものを写真に撮るようになっていきました。しかし、山岳雑誌等で見る山の写真は、猛々しい山壁や、アルプスの山並みなど、山の形を捉えたものが多く、「私が撮りたいものは、みんな撮ってない」と思ったそうです。
その後、山の雑誌で仕事をする中で編集者の小林さんと出会い、ともに取材をする中で、山の楽しみ方はひとつじゃない、同じように頂上を目指さなくてもいい、と山との多様な付き合い方を紹介していく活動をするようになっていきました。
野川さんは、山の写真は一生撮っていく、と言っていました。何度、同じ山、同じ道、同じ山小屋に行っても、出会う景色も人も、全く同じということはなく、同じ場所でシャッターを押しても、そのたびに、驚きと感動があると。
私たちは、展示を月曜日に終えたあと、八ヶ岳に行ってきました。山小屋のある峠から、朝日に照らされる雲海を眺めていたとき、野川さんは、こういう時きっと、太陽じゃないものを見ているんだな、とふと思いました。
感動的な朝日の光で赤く染まった小さな花、おいしそうなご飯をよそう手、つらい登山道にゆれるみちしるべ、
いわゆる「今日のハイライト」ではない瞬間の断片の集積が、見ている私たちに、”山をみている”のではなく、まるで”山にいる”ような感覚を呼び起こしてくれる写真展でした。
guse ars / takahiro murahashi / satomi iwase EXHIBITION『Parallel broken / unbroken』
guse ars / takahiro murahashi / satomi iwase EXHIBITION『Parallel broken / unbroken』
2018年7月21日(土)~ 8月6日(月)
在廊予定日:7月21日、8月5日、6日
“Parallel”と題した展示では、陶器が割れた世界(broken)をguse arsのインスタレーション、陶器が割れなかった世界(unbroken)を村橋貴博のコラージュ、岩瀬敬美のペインティングでそれぞれ表現します。
guse ars|グセアルス
アーティストユニット
2010年結成。東京を拠点に活動する村橋貴博と岩瀬敬美による2人組のアートプロジェクト。海や川に漂着する陶片を採集し、それを創造の種として作品発表、アートワークの提供、デザイン制作などを行っている。また、村橋貴博はコーラージュワーク、岩瀬敬美はドローイングワークなどソロ名義での活動も並行している。
http://guse-ars.com
【展示記録】
guse ars / takahiro murahashi / satomi iwase EXHIBITION『Parallel broken / unbroken』
2018年7月21日(土)~ 8月6日(月)
ある時、どこかで割れたうつわの欠片が、海や川で形を変えながら漂流し、どこかに流れ着く。
guse arsの、「washed pettern」シリーズは、そうやって偶然出会った陶片を「種」として、新しい作品を生み出しています。
今回の展示では、さらにその前段階の、欠片の産まれた瞬間(陶器が割れて、陶片になった瞬間)に注目し、二つの陶片から抽出された模様を、無地の陶片に絵付けをして陶片を作り出しました。
それは、もし割れ方が違っていたら、形が違ったり、模様の出方が違っていたかもしれないというパラレルワールド。
いくつもの可能性(作った陶片はなんと、各120個!)の世界に、目が回るようです。
いつ、どこで、どんなふうな道をたどってきたのか、正解はわからないけど、わからないから、想像して新しいものを作ることができる。と彼等は語ります。
作品を前にお話していて、ある方が「なるほど。命をつないでいるんですね。」
とおっしゃいました。ひとつの小さな陶器の破片が、姿を変え、未来につながっていく。それがguse arsの作品の魅力だと改めて感じました。
今回の展示では、「Pararel broken/unbroken」と題し、ギャラリースペースでは、「割れた」世界を、書店内スペースでは、「割れなかった」世界を表現した展示を同時開催していました。書店スペースでは、村橋貴博のコラージュ、岩瀬敬美のペインティング作品を展示。ある家の物置で忘れられた二つの水差しから始まるパラレルワールドが広がります。
いくつもの偶然が重なって、今・ここにいる私たち。
「あの時ああしていたら」「もし今の仕事についていなかったら」など、”そうだったかもしれない”可能性のことを考えたことのある人は少なくないかもしれません。
幾重にも少しずつ重なりずれながら、枝分かれしていく並行世界。私たちのいる場所は、無数の”そうだったかもしれない”可能性の、ひとつにすぎないのかもしれません。
今年の夏は、例年になく厳しい暑さが続いています。そんな中で、訪れた人の心を涼やかになだめてくれる展覧会となりました。
暑い中ご来場くださいました皆さま、guse arsのお二人、本当にありがとうございました。
【新入荷】Trace of Fog / 阿部 祐己 Abe Yu-ki
Trace of Fog / 阿部 祐己 Abe Yu-ki
ご購入はこちら→ https://artlabo.ocnk.net/product/6215
限定700部
過去から現代へと繋がる、日本の風景の郊外に焦点を当てた写真作品を制作し続け、2015年に三木淳賞を受賞した写真家、阿部祐己による写真集。
本作は、年間200日以上も霧が発生するという霧ヶ峰を舞台に制作したシリーズ。
石器時代の古来より人が生活を営んできた場所である霧ヶ峰では、流鏑馬(やぶさめ)などの様々な神事が現在も引き継がれている。作家は過去の歴史から残る痕跡と現代の人の営みを、定点観測のような視点で写し続けた。過去から現在、現在から未来、我々はその現在のほんの短い瞬間に生きていると同時に、それを繋いでいることへの確からしさを作品から感じることができる。
時間の感覚をも失う深い霧の向こうには山の住人の気配が、霧が晴れた夜空には満点の星空、日が昇り光が野焼きで形成された平原に差し込む頃に、人々は目覚め新しい一日を再開させる。作家の卓越した構成力に繊細な色で描かれたこの写真集は、霧ヶ峰の歴史における儚くも美しい一葉の栞のような一冊に仕上がっている。