2017-05
小幡 彩貴 個展 『DAWN』
小幡 彩貴 個展 『DAWN』
Saki Obata solo exhibition “DAWN”
2017年6月21日(水) – 7月10日(月)
※作家在廊予定日:7月1日(土)、2日(日)
絶妙な構図と世界観で国内外から絶大な人気を誇る小幡彩貴の個展を開催します。
sugar meのアルバムジャケットやNHKテキスト『高校生からはじめる「現代英語」』、最近ではイギリスの雑誌「MONOCLE」のイラストレーターに起用されるなど国内外で活躍中の彼女。
今回の「DAWN」と題した展示では、深夜から夜明けの時間帯に、ある人は一人で、ある人は誰かと、何かを静かに考えていたであろう瞬間を描き出します。観る者にとって「いつかの夜明けのこと」を思い起こす、そんな体験になるでしょう。
本展はMangasick(台湾)、ODD ONE OUT(香港)で開催してきた展示「DAWN」の巡回展となります。
(企画協力: commune / commune Press)
小幡 彩貴 Saki Obata
2009年桑沢デザイン研究所総合デザイン学科卒業。
有限会社ナノナノグラフィックスにてグラフィックデザイナーとして勤務の後、2014年よりフリーランスのイラストレーター・グラフィックデザイナーとして活動中。
「美術展の手帖」、「おばちゃんたちのいるところ – Where the Wild Ladies Are 」の装画・挿絵や、その他雑誌、書籍等でもイラスト、デザインを手掛けている。
個人作品では季節をテーマにイラストを描いている。
www.obatasaki.com
obatasaki.tumblr.com
instagram @obatasaki
【展示記録】
小幡 彩貴 個展 『DAWN』
小幡紗季さんの展示「DAWN」が終了しました。今回は、”夜明け前”がテーマ。
まだ外は暗く、多くの人が眠っている時間。この世界に自分しかいないんじゃないかと思うような静けさのなか、妙に清々しい気持ちになったり、逆に不安になったり。深夜のラジオや、灯りがともっている部屋を眺めて心強いような気持ちになったりということは、誰もが覚えがあるのではないでしょうか。
わたしが思い出したのは、先日、碧南市藤井達吉現代美術館で開催されていた「花森安治の仕事」展のこと。会場には、『暮しの手帖』編集部員を叱咤激励する花森さんの音声が流れていました。
早朝に家を出て魚市場で働く人を取材した記事に添える写真について、「外はまだ暗い。それを表現するのに何が必要かわかるか。それは人工の光だ。」と、花森さんは言います。街灯やテレビの灯りなど、人工の光が”闇”を引き立つ。小幡さんの絵は、その点においてまさに”夜明け前”という時間をみごとに描写していました。
ある写真家の方が今回の展示を観て、「小幡さんの作品のことこそ、”写真”と呼んだほうがいいんじゃないか」とおっしゃっていたのが印象的でした。実際、小幡さんは日々の生活の中で、ふと心を動かされた瞬間に出会うと「残さないではいられない…!」と、その状景を言葉でメモをして、あとから絵に描いているそうです。
自分の内側でゼロから世界を構築するのではなく、自分の眼前にある世界を「残したい」という向き合い方はとても写真的です。かといって、残したい瞬間を実際に写真に撮って、それをもとに絵に起こす、という方法では、「描きすぎてしまう」のだそう。たしかに小幡さんの作品は、とてもシンプルで少ない線ながら、そのほんの少しの角度やトーンで、風のゆらぎや光のさす方向を十分に示しています。私たちの目の前にはもっと多くのものであふれているはずだけど、きっと「見ている」ものはそんなに多くはないのかもしれません。
また、小幡さんの絵の中には、直接描かれていないけれど存在を感じさせるものが多くあります。絵の中の人物の視線の先に、テレビや桜の木を見ることができます。鳥の声や車の音が聴こえます。それは、あいまいな部分を残すことで想像の余地を与えているというのとはまた違っていて、”描かずに描く”という姿勢で、そういう部分にも、小幡さんが好きだという昭和初期に活躍した日本画家、小村雪岱が見え隠れするように感じました。
いつかは漫画を描きたい、という小幡さんの今後がとても楽しみです。
長谷川珠実 写真展 『ラックミー』
長谷川珠実 写真展 『ラックミー』
2017年6月7日(水)~6月19日(月)
アーティスト・トーク
6月17日(土) 19時~
入場無料
「5月7日におじいちゃんの23回忌をやるから、来れる?」とお母さんからラインが来た。急過ぎるでしょって思ったけれど、本当に急に決まったらしい。おじいちゃんは私が幼稚園に入った年にがんで死んでしまった。お母さんから聞いた話だけど、おじいちゃんは変わった人で、酒乱で、物干し場から飛び降りて怪我をしたり、お祭りが好きで近所の子供たちにお店で売ってるアイスをばらまいてしまうような人だったらしい(母の実家はお米屋さんを営んでいた)。
幼稚園に上がる前の幼いころ、私が行方不明になったことがあった。私が住んでいる前橋に遊びにきたおじいちゃんが、そのまま黙って連れて帰ってしまったのだ。そのときの記憶はほとんどないけど、一つだけ思い出せることがある。お店とお家の間の玄関でおじいちゃんに「お母さんとお父さんがいなくなってもさみしくねぇんか?」って聞かれたんだけど、私は「さみしくないよ。だってうちの朝ごはんいつもね、しらすごはんばっかりだから」って言ったのだ。昔の記憶だから、大人に聞かされて植え付けられた思い出なのかもしれないけど、このことは本当の思い出だって確信してる。
大人になった今でもよけいな事をかなり言っちゃうから。
長谷川珠実 | Tamami Hasegawa
写真家
1991年群馬県生まれ、2014年専修大学文学部卒業。
JAPAN PHOTO AWARD 2014シャーロット・コットン賞受賞
Transumanza / Stefano Carnelli
『Transumanza / Stefano Carnelli』
ご購入はこちら→ http://artlabo.ocnk.net/product/5731
イタリア人フォトグラファー、Stefano Carnelliによる写真集。
TRANSUMANZA(トランスマンツァ)とは、イタリア北西部のロンバルディア州で古くから行われている、羊を季節に応じて大移動させる伝統行事のこと。
60人の羊飼いたちは、春になると平地から山に、また秋には平地に1000頭以上の羊たちを移牧させながら飼育しています。現在は、ムスリム移民コミュニティからの羊の肉に対する需要の高まりによって羊の頭数は増すばかり。羊たちが通過するのは都市化された地域で、羊の群れと背景が生み出すミスマッチは、周縁地域の遊牧民共同体と都市地区の摩擦を示唆しています。