2021-05

【新入荷】DEAR OLD DAYS 往事成追憶 -中国の子供達 III- / 秋山亮二

DEAR OLD DAYS 往事成追憶 -中国の子供達 III- / 秋山亮二
ご購入はこちら→ https://artlabo.ocnk.net/product/8029

写真家、秋山亮二が1983年に出版し、“子供写真の金字塔”とも評された写真集『你好小朋友―中国の子供達』。同写真集の復刊と、昨年の続編『光景宛如昨-中国の子供達-II』を経て“DEAR OLD DAYS 三部作”の最終章がリリース。

本作も前作同様、子供たちだけでなく、当時のライフスタイルを感じさせる背景や物、大人達の姿にもフォーカスしています。手編みのベビー靴、花柄のタオル、ホーローのたらい、路上の理髪店、70〜80 年代に流行した化繊のシャツ、40 年前のありふれた日常風景は、子供たちの純真な笑顔の背景にある彼らの家庭や学校、時代をリアルに伝えてくれます。いずれのカットもグラフィカルに切り取られているのは秋山氏ならでは。

前二作と違うところは、「時の流れ」によりこだわったところです。本作の十数点のネガフィルムはベース面にまでカビが浸透しており、物理的な洗浄で除去することができませんでした。化学薬品でネガを損傷することを避け、データ上でレタッチ修正することにしたのですが、一方で、このカビは40 年の時の蓄積であり、そのまま残してもいいのではないかという思いも編集者にはありました。そのことを秋山氏に告げると、「それは時の流れを示すものです。そのまま残してください」と即答。全116 点の中の9 点に、フィルムに付いた黄色いカビの痕跡が修正されずにそのまま残されています。

本作の巻末には、秋山氏と写真家の濵田英明氏の対談を掲載。

 

2021-05-28 | Posted in NewsComments Closed 

 

【新入荷】flowers / 奥山由之

flowers / 奥山由之
ご購入はこちら→ https://artlabo.ocnk.net/product/8012

 

第34回写真新世紀優秀賞受賞し、数多くのクライアントワークも手掛けるなど、デビューして間もなく、一躍日本のトップ・フォトグラファーとして注目を集めている写真家、奥山由之による写真集。

奥山由之が長年撮りつづけたこのシリーズは、亡き祖母が暮らしていた家で撮影されました。この場所をいま自身のアトリエとする奥山は、射し込む光に、庭に揺れる草木に、生前の祖母を偲び、多くはなかった会話をあらためて紡ぐように、花を撮り重ねてきたのです。

80年代に祖父が使用していた110フィルム(ワンテンフィルム)という小さなフィルムを用いて撮影された花々は、部屋のクラシックな意匠やカーテンとも合わさり、花と向き合う自由な視点や角度に引き付けられます。
中でも、窓という絵画的なモチーフを用いて、外部の流動感や瑞々しさと内部のほの暗さを印象づけ、内から外への眼差しや、光の中で花に近づく揺らぎある視点において、祖母と自身とを重ね合わせています。窓に映り込む花と、ここにある花。窓を挟む室内の花と、庭の花。花を撮ることによって無数の対話が交わされます。

その流れのなかに織り込まれるキッチンや書斎、寝室など空間を撮った写真には、異質な視覚が生じています。大判カメラのコンタクトシートや中判カメラ、35ミリ、ポラロイドなど様々なカメラを用い、生前の祖母の視点、亡き祖母の漂う視点、そして自身の視点が現れるようです。
一枚の写真における視線の重なり、そして全編を通じての視点のレイヤーは「flowers」の大きな試みといえるでしょう。

また、一冊のなかに融け合う、古い家族アルバム、祖母と共にあった家や家具、そして今を咲く花という時間軸のグラデーションは、写真のフォーマットや手法においても表出されています。祖母が生きていた時代から存在したフォーマットと、片やコンタクトシートのスキャニングや、映像から静止画へと切り出されたもの。「flowers」の奥行き、眼差しや感覚の混交に、幅のある時間・歴史が息づいています。

本書に登場する花は、フラワークリエイター篠崎恵美(edenworks)さんにより提供された、棄てられてしまうはずだった花々です。
時折登場する花瓶を持つ手、花を差し出す手 ─ 自身であり他者であるだろうその手は、それぞれの記憶に触れるものです。






2021-05-17 | Posted in NewsComments Closed 

 

『名前のないことば辞典』刊行記念 出口かずみ 原画展

『名前のないことば辞典』刊行記念 出口かずみ 原画展
2021年7月1日(木)~7月26日(月)

『名前のないことば辞典』(遊泳舎)の刊行を記念して、 原画展を開催します。会場では原画を展示するほか、関連書籍やグッズも販売します。

 

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ある日、某輸入食品店のレジで量り売りのコーヒー豆を注文したときのことです。店員さんに「これを二百グラム、ええと……あの……これを……」と、なぜかいきなり頭が真っ白になりました。豆を〝挽く〞というワードがどうしても出てこなくなったのです。店員さんは笑顔で優しく、うんうんと相槌を打ちながら私の口から〝挽く〞という言葉が出るまでゆっくり待ってくれたのですが( しばらく泳がしやがったな、とあとで思いましたが)、私は身振り手振りと一緒に「あの、豆をこう、ガリガリ……」と必死で伝えたのです。

やっと店員さんが「お挽き、して?」と誘導してくれ、「そうそれ! 挽いてください!」と晴れて頼めました。その場に安堵の空気と笑いが生まれ、「ガリガリ」が手伝ってくれたかもなと振り返って思ったのでした。

こんなふうに日常では気がつかないくらい、物事を表現する際に便利に使ってしまっている「名前のないことば」たちを、いぬ、ぶた、あひる、くま、かめ、ねこ、はりねずみの7種類の動物たちの日常に溶け込ませてまとめてみました。どこかの小さな町でこんなことが繰り広げられているかもしれない、と読んで楽しんでいただけたらと思います。

出口かずみ

 

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出口かずみ (でぐち かずみ)
1980 年、佐賀県生まれ。猫2匹と暮らしながら絵を描いている。主な著書に『どうぶつせけんばなし』『画集 小八』(えほんやるすばんばんするかいしゃ)、『おべんとういっしゅうかん』(学研プラス)、『ポテトむらのコロッケまつり』(文:竹下文子、教育画劇)、『たくはいびーん』(文:林木林、小峰書店)など。好きな名前のないことばは「ごろごろ」。

 


 


『名前のないことば辞典』

絵本作家、イラストレーターとして、ユーモラスな作品を発表し続ける出口かずみによる、様々なオノマトペの用法をイラストとともに紹介した辞典。
「わくわく」「もじもじ」「だらだら」など、日常で何気なく使っている感覚的で曖昧な言葉約300 語を収録。いぬ、ねこ、ぶた、くま、はりねずみなどの動物たちが、ストーリー仕立てでコミカルに紹介します。古事記や万葉集の時代からある「言葉じゃない言葉」の奥深さを、楽しく学べる一冊です。

2021-05-28 | Posted in Past-ExComments Closed 

 

白石ちえこ 写真展『鹿渡り SHIKAWATARI』

 

白石ちえこ 写真展『鹿渡り SHIKAWATARI』
2021年6月19日(土)~7月4日(日)
作家在廊予定日:6月26日(土)
 

近年、国内のみならず、海外でも活躍の場を広げている写真家、白石ちえこの写真展を開催します。

『鹿渡り』は、2014年から2020年まで毎冬、道東を旅し、野生のエゾシカの群れを撮影してきたシリーズ。本作で、第37回写真の町東川賞特別作家賞を受賞しています。


 

冬の北海道、道東。
薄曇った空と雪がぼんやりとあたりを照らし、白くほのかな光りがどこまでも大地を覆っている。
真っ青な晴天の東京から来ると、そこには眠っているような静けさがあり、一気に遠い土地に迷い込んでしまう。
無音に包まれて耳をすます。白い無音の大地では、遠い森の樹々の枝から、ひとかたまりの雪が落ちる音までも聴こえてきそうだった。
真冬の大地を巡るなか、夕暮れの凍った湖をちいさく一列になって渡るエゾシカの群れに遭遇した。
群れを眺めているうち、空と森とシカが一列に連なる自然の摂理を感じ、なにか神聖なものを見てしまったようなおごそかな気持ちになった。
海辺に出ると、渡り鳥が岬の気流にのって飛んで行く。北海道の真ん中を渡るコハクチョウには、そこが数十万年前に海岸線だった記憶が刻まれていて、今も過去の鳥の地図を継承し、渡りを繰り返しているという。
道東では、今まで感じたことのない大きな自然との一体感の中で、弱い光に包まれながら、私とシカと自然が一本の道でつながっていくのだった。

___ 白石ちえこ
 



鹿渡り SHIKAWATARI / 白石ちえこ  https://artlabo.ocnk.net/product/7582
 


白石ちえこプロフィール

神奈川県横須賀市生まれ

【個 展】
1998年 「とおいまち」 ガレリアQ / 東京新宿
2003年 「サボテンとしっぽ」 巷房 / 東京銀座
2005年 「ロバのいた町」 Roonee 247 photography / 東京四谷
2006年 「アマリリス通り」 ギャラリー冬青 / 東京中野
2007年 「 猫目散歩 」 ギャラリー街道 / 東京阿佐ヶ谷
2008年 「 サボテンとしっぽ 」  ギャラリー冬青 / 東京中野
2010年 「 ねこと海 」  喫茶 谷中ボッサ/ 東京谷中
2011年 「 海に沈んだ町 」  蒼穹舍 / 東京新宿
2012年 「ペンギン島の日々 – いつか見た風景 – 」ART SPACE 繭 / 東京京橋
2014年 「ホエールウォッチング」 gallery & café Hasu no hana / 東京鵜の木
2015年 「島影 SHIMAKAGE」森岡書店/東京茅場町・Gallery722 / 岡山吉井・ toki分室 / 東京西荻
2016年 「島影 SHIMAKAGE」 mind’s eye gallery Adrian Bondy / Paris France
2017年 「鹿渡り SHIKAWATARI」art space 繭/東京京橋
2019年 「 ムジナムジカ」  流浪堂・トーチカ/東京目黒
「鹿渡り SHIKAWATARI」 mind’s eye gallery Adrian Bondy / Paris France
「島影 SHIMAKAGE」 Kokonton Gallery / Venezia Italy
2020年 「島影 SHIMAKAGE」 READAN DEAT/広島
「鹿渡り SHIKAWATARI」写真集刊行記念展 巷房/東京銀座・ギャラリーソラリス/大阪
2021年 「鹿渡り SHIKAWATARI」写真集刊行記念展 ギャラリー楽風 /浦和・1231店/岩手水沢

【その他 】
2004年 「ホンニコノ国ヨイ国ヂャ」関口国雄+白石ちえこ 二人展 ナノ・リウム/山梨富士吉田
2005/2008/2009年 「まちがミュージアム!」 西裏界隈/山梨富士吉田
2010年 「足利風景 ̶旅の視線、地の視線̶」 足利市立美術館/栃木足利
2011年 「会津・漆の芸術祭 ~東北へのエール~ 」 大和川酒造/福島喜多方
2013年 「MONOCHROME LANDSCAPE 色のない景色」 Art Labo 深川いっぷく/東京白河
2014年 「MONOCHROME LANDSCAPE 色のない景色」巡回展  Flowmotion/北海道帯広
2015年 「ペンギンの行方~写真の辺境、版画の辺境」 猫野ぺすか・白石ちえこ二人展 Art Labo 北舟/北海道帯広
2016年 「Tbilisi Photo Festival 2016 〝Contemporary Japanese Photography〟」MOMA / Tbilisi Georgia
「ピーターミラー・白石ちえこ 二人展」砂丘館・新潟絵屋(二会場同時開催)/新潟

【写真集 】
2008年 「 サボテンとしっぽ 」 冬青社
2015年 「島影 SHIMAKAGE」蒼穹舎
2019年    「鹿渡り Shikawatari」私家版 限定100部
2020年 「鹿渡り SHIKAWATARI」蒼穹舎
【共 著 】
2011年 「海に沈んだ町」(小説/三崎亜記) 朝日新聞出版

【収 蔵 】
清里フォトアートミュージアム
足利市立美術館

2021-05-13 | Posted in Past-ExComments Closed 

 

『足音を生むために』刊行記念  水野誠司・初美 写真展

 

『足音を生むために』刊行記念 水野誠司・初美 写真展
2021年6月3日(木) ~ 6月21日(月)
ON READING店内展示スペースにて開催。※最終日は19時まで。

 

2016年から始まった、馬場駿吉の俳句と水野誠司・初美の写真による交感が一冊の本になりました。
モノクロームに写された風景を詠み、詠まれた十七の音に新たな風景を視る。未だ視ぬイメージを求めて、目と耳で探った実験の記録です。
刊行を記念して、本で使用された画像による写真展を開催します。手漉き雁皮紙に、19世紀の古典写真技法パラディウムプリントで制作した小品を展示いたします。

 

水野誠司・初美 |  写真家
フィンランドにてStig Gustafsson氏に師事
2013年 名古屋市美術館「ポジション2013」
収蔵 名古屋市美術館

馬場駿吉 |  俳人、美術評論家
元名古屋ボストン美術館館長、名古屋市立大学名誉教授(耳鼻咽喉科学)

 

『足音を生むために』
限定300部 | 特製オリジナルプリント付
四六判 上製本  64頁
販売価格 9,350円(税込)

2021-05-08 | Posted in Past-ExComments Closed