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箕輪麻紀子 個展 『Float』
箕輪麻紀子 個展 『Float』
2017年3月8日(水)~3月27日(月)
作家在廊日:3月8日(水)、3月18日(土)
書籍や雑誌、ファッションなどの分野で活動中のイラストレーター、 箕輪麻紀子の個展を開催します。
本展では、柔らかな静けさを風景画の中に描き出した写真集的画集『Float』(DOOKS刊)の原画作品に加え、新作も発表する予定です。
また、期間中は出版レーベルDOOKSの書籍も一部コーナーを設けてご覧いただけます。
SPECIAL EVENT: 箕輪麻紀子 ”someone/somewhere”
日時:2017年3月18日(土) 13:00~18:00
料金:1000円+税(お一人様)
コースターに、あなたの似顔絵orあなたの思い出の風景や場所などの絵を描きます。
写真をお持ちいただいてもOKです。
箕輪 麻紀子 / makiko minowa
イラストレーター
東京都出身、在住
武蔵野美術大学造形学部卒業
イラストレーション青山塾修了
2011年よりhpgrp GALLERY(アッシュ・ぺー・フランス株式会社)キュレーション、LUMINE meets ART MeganeZineShop、TokyoArtBookFairなどイベント、グループ展に多数出展。広告、書籍、雑誌、ファッションなどの分野で活動中。
http://makikominowa.com
【展示記録】箕輪麻紀子 個展「Float」
float=浮かぶ、漂う、広がる…
今回の展示のDMになった作品は、ON READINGの扉を開け外に出た瞬間に目にする風景が元になっています。
最初にこの絵を見たとき、思わず声をあげてしまいました。でもそれより驚いたのは、こうして展示をやったことで、毎日この風景を見ている私たち以外の人にも、この風景が「わかる」のだということです。
風景というのはどういうものなのでしょう。今、目の前に広がっている木やビルや道路や家そのもののことなのでしょうか。箕輪さんの作品には、現実世界ではありえない色が使われているけれど、不思議と突拍子もないものだとは思えない、と何人かの方が絵を見て話してくれました。
恐らく誰にも、ふと思い出す風景があると思います。それは、実際のそれとは多分すこしねじれているので、「思い出す」というのとは少し違うかもしれません。でも、浮かんでは消えていく、この頭の中にあるこのビジョンこそが風景なのかもしれないと思うのです。
箕輪さんの作品が懐かしいような切ないようなそういう気持ちにさせてくれるのは、彼女自身が「楽しいと寂しい」と話す、とても豊な感受性の持ち主だからこそかもしれません。すべては流れていき、この瞬間は二度と戻らない。それでも色やかたちを変容させながら、私たちの記憶という場所にその光景は焼き付けられているのだと思います。
今回は、箕輪さんの特徴でもある女性が絵に登場しませんでした。しかし人物不在だからこそ、人の視線を感じ(人の存在を感じ)られ、それはほかならぬ自分でもあり得るから、まるで作品世界の中に立っているかのような没入感が得られるのではないかと思います。
箕輪さんが見せてくれたこの流れゆく景色は、また少しずつ変容しながら、私たちの中に漂っていくのではないでしょうか。