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植本一子 写真展『降伏の記録』


植本一子 写真展『降伏の記録』
2018年2月10日(土)~2月26日(月)
at ON READING GALLERY

当店で3度目となる、写真家・植本一子による個展を開催します。

本展は、最新刊『降伏の記録』(河出書房新社)の出版を記念しての写真展です。「かなわない」「家族最後の日」「降伏の記録」と、自身が日々暮らしていく中で抱えた葛藤や迷い、不安、痛み、喜び、生きることすべてを、まっすぐな文章で綴ってきた彼女。その文章からは、生きていくことへの意味、豊かさを、改めて想起させられます。

本展では、末期癌の夫の繰り返される入退院、それをみつめる子どもたち、絶縁したままの母親との関係などを記録した「降伏の記録」に収録されている写真作品に加え、ここでしか見ることのできない約50点の作品を展示します。

また初日の2月10日(土)にはトークイベントも予定しています。
(※ご予約受付・詳細は近日中にアップします。)
※予定しておりましたトークイベント、在廊は都合により中止となりました。

【SPECIAL EVENT】「植本一子の写真と本をあじわう時間」
今回の展覧会では、書籍「降伏の記録」が書かれた時期に撮られた写真を展示しています。

本作は、日々の中でシャッターを押し、記した、写真と言葉で残された日々の記録です。本を読んで展示を見ると、書かれていたシーンが思い起こされ、展示を見てから本を読めば、会場でご覧いただいた写真が思い浮かぶことでしょう。植本作品にとって表裏一体である、写真と本をあわせて鑑賞できる機会は貴重なのでは、と思い至り、それを存分に味わっていただける時間をご用意することにいたしました。

「植本一子の写真と本を語る時間」
2018年2月22日(木)20:00~21:30
定員6名|参加費1000円(お飲み物つき)
要予約:下記フォームよりお申し込みください。 ※定員に達しました。

今回の展示ではご来場の方とたくさんお話をしています。夫婦、親子、恋人など、人とのかかわりの中で存在する「自分」について。そして、良くも悪くもついて回る「家族」について。植本さんの作品は、私たちが抱える普遍的な様々な問題を浮き彫りにしながら、そこに向き合うことをあきらめません。そんな彼女の姿が、私たちの心を打つのだと思います。

また、植本さんが日々の生活の中で捉えた、家族や友人たちの写真は、私たちの日々が小さな奇跡の集積で成り立っているんだということを静かに教えてくれているようでもあります。

植本さんの作品は、”赤裸々”と言われがちですが、当然ながら“書かないこと”があるそうです。だとすれば、ここに「書かれていること」とは何か。植本一子の著作を前に、私たちの前に置かれている問いとは何か。日々を記録して、生きていくということ。あたらしい家族の形とは。みなさんと一緒に考えていければと思っています。

※「かなわない」「家族最後の日」「降伏の記録」のうち、どれか1冊お読みいただいた上でご参加ください。

「植本一子の写真と本を読む時間」
2018年2月28日(水)14:00~15:30 | 19:30~21:00 
各回定員8名|参加費500円(お飲み物つき)
要予約:下記フォームよりお申し込みください。

植本さんにとって、表裏一体である「写真」と「日記」を同時に鑑賞する時間です。お席と、お飲み物をご用意いたします。なかなかできない体験をゆっくりとお楽しみください。

書籍はご持参いただくか、当日店頭でご購入ください。(お取り置きも承りますので、ご予約時に備考欄にてお申し付けください。品切れの場合もありますのでお取り置きを推奨します。)
「降伏の記録」は只今品切れ中です。。。
・各自が自由に本を読みながら写真をみる時間です。読書会とは異なりますのでご了承ください。
・基本的には「降伏の記録」をお読みいただくことをお勧めしますが、他の本がよければ他の作品をお持ちいただいても大丈夫です。

 


植本一子(うえもといちこ)
1984年広島県生まれ。2003年にキャノン写真新世紀で荒木経惟氏より受賞し写真家としてのキャリアをスタートさせる。広告、雑誌、CDジャケット、PV等幅広く活動。13年より自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、一般家庭の記念撮影をライフワークとしている。著者に『働けECD―わたしの育児混沌記』、『かなわない』、『家族最後の日』、共著に『ホームシック―生活(2~3人分)』(ECDとの共著)がある。
http://ichikouemoto.com/


降伏の記録 / 植本一子
河出書房新社/1,944円(税込)
https://artlabo.ocnk.net/product/5949

 

【展示記録】
植本一子「降伏の記録」写真展 

 

「自分の昔の写真見たら、また悲しくなってきました…でも撮っておいて良かったなって。」

(2018/02/10 twitter https://twitter.com/dj_anzanより)

 

植本一子さんの作品は、写真と言葉で残された日々の記録です。ON READINGでは、(二人展を含めると)4回目となる今回の展覧会は、書籍「降伏の記録」が書かれた時期に撮られた写真が並びました。

植本さんが生活の中で捉えた、家族や友人たちの写真は、私たちの日常が小さな奇跡の集積で成り立っているんだということを静かに教えてくれているようでもあります。

今回の展示ではご来場の方とたくさんお話をしました。夫婦、親子、恋人など、人とのかかわりの中で存在する「自分」について。そして、良くも悪くもついて回る「家族」について。植本さんの作品は、私たちが抱える普遍的な様々な問題を浮き彫りにしながら、そこに向き合うことをあきらめません。そんな彼女の姿が、私たちの心を打つのだと思います。

 

本を読んで展示を見ると、書かれていたシーンが思い起こされ、展示を見てから本を読めば、会場でご覧いただいた写真が思い浮かぶ…。植本作品にとって表裏一体である、写真と本をあわせて鑑賞できるこの機会は貴重なのでは、と思い至り、会期の後半に二つのイベントを企画しました。

「植本一子の写真と本を語る時間」では、植本さんの写真や本についての話から、それぞれの家族について、人との「向き合い方」の違いについてなど、7名の参加者と様々な話をしました。互いの”物語”を持ち寄って、分け合い、終わった後には少し別の場所にいる、そんな特別な読書体験が植本さんの作品を媒介にして可能になった濃厚な夜でした。

また、一日だけ会期を延長しての「植本一子の写真と本を読む時間」では、植本さんの写真に囲まれて本を読むという贅沢な時間をご用意しました。1時間ほど自由に読書をしていただいた後には、急遽ご在廊くださった植本さんと、参加者の方たちとの交流の時間も。好きな場面や、写真と日記の違い、悩み相談なんかも飛び出してにぎやかな時間になりました。

植本一子の著作を前に、私たちの前に置かれている問いとは何か。日々を記録して、生きていくということ。あたらしい家族の形とは。展覧会が終了しても、日々はこれからも続いていきます。いつまでも答えはでないし、話は尽きることはないでしょう。これは、植本さんの作品の懐の広さゆえのことだと思います。

2018-01-19 | Posted in Past-ExComments Closed