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畑中章宏の民俗学的読書術 第3回 『新美南吉童話集』(岩波文庫)


イベントは終了しました。アーカイブ配信を販売しております。

ご希望の場合は以下よりお申込みください。※アーカイブ販売終了しました。

 

畑中章宏の民俗学的読書術 第3回 『新美南吉童話集』(岩波文庫)
約2時間(Youtubeでの配信となります。)
視聴料:1,500円(税込) ※お支払いはクレジットカード支払いのみとなります。
視聴期限:2022年10月9日
※pdfのレジュメをメールでお送りしますので、携帯電話のアドレスはお控えください。
(迷惑メール設定にご注意ください。info@elvispress.jp よりメールが届きます。)

民俗学者の畑中章宏さんをお招きしてのイベント『畑中章宏の民俗学的読書術』を、隔月で定期開催していきます。「民俗学」をキーワードに、様々な本を、より多角的、多面的に味わっていきましょう。

 

2か月にいちどぐらいのペースで読書会ふうのイベントを開催していきます。私は民俗学者ですが、このイベントでは、「この本が、どうして、民俗学と関係あるの?」という反応がかえってきそうな本を、毎回とりあげていくつもりです。どうしてそんな本を選ぶのかというと、みなさんが民俗学に抱く〝固定観念〟をときほぐしたいと思うからです。

民俗学とは一見つながりがなさそうな現代思想の著作、小説、童話、詩集、紀行文学、科学書などなどを、 私なりの問題意識から読み解いていくことで、民俗学が現在進行形のリアルな学問・方法であることを皆さんに知っていただきたいのです。

新美南吉さんの作品で、みなさんは何がお好きでしょう? 私は「手袋を買いに」に「ごん狐」、それに「狐」が大好きです。そう言えばぜんぶ狐が出てくるお話ですね。

ところで南吉さんが作品に登場する狐たちは、本当に狐なのでしょうか。「手袋を買いに」の最後、お母さん狐は子狐に「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやいているので、おそらく人間ではない”何か”なのでしょう。しかし、たんなる狐だと断言することはできません。南吉さんの狐は精霊的であったり、妖怪的な性格をまとってはいないでしょうか。

新美南吉さんはご存じのとおり愛知県半田の出身で、1913年(大正2)に生まれて1943年(昭和18)に亡くなりました。雑誌「赤い鳥」に南吉さんの作品が最初に掲載された1931年(昭和6)は満州事変が勃発した年なので、日本の十五年にわたる戦争の時期と重なっています。ですから、一見のんびりしてそうな南吉さんの童話は、じつはピリッと緊張感をはらんでいるのです。

「東の宮沢賢治、西の新美南吉さん」という言い回しがあるように、南吉さんは宮沢賢治とよく比較されます。ですが、南吉さんの童話の舞台は生まれ故郷の半田を中心とした小さな空間で、賢治のように宇宙に飛び出たりすることはありません。鉱物にも息吹を感じた宮沢賢治が〈神話的〉だとすれば、狭い地域、生々しい生活の時間に基づいた新美南吉さんは〈民俗的〉だといえるでしょう。

そこかはとない不安が漂う今、新美南吉さんの童話を読み直すことで、いったい何が得られるのでしょうか。

(畑中章宏)

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畑中章宏(はたなか・あきひろ)
民俗学者。著書に『柳田国男と今和次郎』『日本残酷物語』を読む』(平凡社新書)、『災害と妖怪』『津波と観音』(亜紀書房)、『天災と日本人』『廃仏毀釈』(ちくま新書)、『先祖と日本人』(日本評論社)、『ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか』『蚕』(晶文社)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『関西弁で読む遠野物語』(エクスナレッジ)、『日本疫病図説』(笠間書院)、『五輪と万博』『医療民俗学序説』(春秋社)ほか。

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新美南吉童話集 (岩波文庫 緑 150-1)
本体価格¥740
岩波書店(ISBN:978-4003115015)

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※受付を終了しました。

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2022-07-02 | Posted in EventComments Closed