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小幡 彩貴 個展 『DAWN』

小幡 彩貴 個展 『DAWN』
Saki Obata solo exhibition “DAWN”

2017年6月21日(水) – 7月10日(月)
※作家在廊予定日:7月1日(土)、2日(日)

絶妙な構図と世界観で国内外から絶大な人気を誇る小幡彩貴の個展を開催します。

sugar meのアルバムジャケットやNHKテキスト『高校生からはじめる「現代英語」』、最近ではイギリスの雑誌「MONOCLE」のイラストレーターに起用されるなど国内外で活躍中の彼女。

今回の「DAWN」と題した展示では、深夜から夜明けの時間帯に、ある人は一人で、ある人は誰かと、何かを静かに考えていたであろう瞬間を描き出します。観る者にとって「いつかの夜明けのこと」を思い起こす、そんな体験になるでしょう。

本展はMangasick(台湾)、ODD ONE OUT(香港)で開催してきた展示「DAWN」の巡回展となります。

(企画協力: commune / commune Press)

小幡 彩貴 Saki Obata
2009年桑沢デザイン研究所総合デザイン学科卒業。
有限会社ナノナノグラフィックスにてグラフィックデザイナーとして勤務の後、2014年よりフリーランスのイラストレーター・グラフィックデザイナーとして活動中。
「美術展の手帖」、「おばちゃんたちのいるところ – Where the Wild Ladies Are 」の装画・挿絵や、その他雑誌、書籍等でもイラスト、デザインを手掛けている。
個人作品では季節をテーマにイラストを描いている。
www.obatasaki.com
obatasaki.tumblr.com
instagram @obatasaki

【展示記録】
小幡 彩貴 個展 『DAWN』

小幡紗季さんの展示「DAWN」が終了しました。今回は、”夜明け前”がテーマ。
まだ外は暗く、多くの人が眠っている時間。この世界に自分しかいないんじゃないかと思うような静けさのなか、妙に清々しい気持ちになったり、逆に不安になったり。深夜のラジオや、灯りがともっている部屋を眺めて心強いような気持ちになったりということは、誰もが覚えがあるのではないでしょうか。

わたしが思い出したのは、先日、碧南市藤井達吉現代美術館で開催されていた「花森安治の仕事」展のこと。会場には、『暮しの手帖』編集部員を叱咤激励する花森さんの音声が流れていました。
早朝に家を出て魚市場で働く人を取材した記事に添える写真について、「外はまだ暗い。それを表現するのに何が必要かわかるか。それは人工の光だ。」と、花森さんは言います。街灯やテレビの灯りなど、人工の光が”闇”を引き立つ。小幡さんの絵は、その点においてまさに”夜明け前”という時間をみごとに描写していました。

ある写真家の方が今回の展示を観て、「小幡さんの作品のことこそ、”写真”と呼んだほうがいいんじゃないか」とおっしゃっていたのが印象的でした。実際、小幡さんは日々の生活の中で、ふと心を動かされた瞬間に出会うと「残さないではいられない…!」と、その状景を言葉でメモをして、あとから絵に描いているそうです。
自分の内側でゼロから世界を構築するのではなく、自分の眼前にある世界を「残したい」という向き合い方はとても写真的です。かといって、残したい瞬間を実際に写真に撮って、それをもとに絵に起こす、という方法では、「描きすぎてしまう」のだそう。たしかに小幡さんの作品は、とてもシンプルで少ない線ながら、そのほんの少しの角度やトーンで、風のゆらぎや光のさす方向を十分に示しています。私たちの目の前にはもっと多くのものであふれているはずだけど、きっと「見ている」ものはそんなに多くはないのかもしれません。

また、小幡さんの絵の中には、直接描かれていないけれど存在を感じさせるものが多くあります。絵の中の人物の視線の先に、テレビや桜の木を見ることができます。鳥の声や車の音が聴こえます。それは、あいまいな部分を残すことで想像の余地を与えているというのとはまた違っていて、”描かずに描く”という姿勢で、そういう部分にも、小幡さんが好きだという昭和初期に活躍した日本画家、小村雪岱が見え隠れするように感じました。

いつかは漫画を描きたい、という小幡さんの今後がとても楽しみです。

 

2017-05-19 | Posted in PastComments Closed